幸せホルモンを生む「ビタミンD」って?太陽との関係性と日光浴のすすめ

いまこそ知りたい、ビタミンのはなし。ep5


太陽の光とビタミンDの相関関係

現代人に不足しがちなビタミンDと幸せホルモンを生む日光浴のすすめ。

冬の間、とくに日照時間が短い北欧では「冬季うつ」と呼ばれる症状があるほど、太陽の光を浴びる時間が減ることで気持ちが落ち込んでしまう人が多くなる。この気分の落ち込みの理由は、日光浴不足によるビタミンDの血中濃度が減少することで、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンが生成されないことが原因のひとつといわれている。白夜がある北欧では、冬季にSUNベッドと呼ばれる日焼けマシンに入る習慣があるほどだ。

この日光浴の不足により、私たちの身体に足りなくなっている栄養素こそビタミンDだ。食事から摂取しにくいビタミンDは、一方で紫外線を浴びると皮膚で合成できる特徴を持っている。栄養素としてカルシウムの吸収をサポートするため、丈夫な骨を作るだけでなく、筋肉量までアップしてくれる。体内でこの成分が不足してしまうと骨の強度が弱まり骨折しやすくなる。さらに近年の研究では、ビタミンDが免疫力に関わりがあることがわかっていて、花粉症などのアレルギーや、ウイルス感染の予防も期待されている。

そんなビタミンDは春から夏にかけてランチタイムを使って散歩するなど、1日30分の日光浴をすれば十分肌に生成されるので、ライフスタイルに簡単に取り入れられるのも嬉しいところ。秋から冬は紫外線が弱く、それだけでは足りないのでサプリメントでも取り入れてみて。太陽の光はいつだって私たちの味方だってことを忘れないでいたい。

次のエピソードでは、日光浴を最大限楽しむための正しいケア方法とおすすめのアイテムをご紹介。こちらをチェック!


監修:斎藤糧三
医師。日本機能性医学研究所所長。日本医科大学卒業後、産婦人科医に。その後、美容皮膚科治療、栄養療法、点滴療法、ホルモン療法を統合したトータルアンチエイジング理論を確立。

参考文献
斎藤糧三(2017)『病気を遠ざける!1日1回日光浴 日本人は知らないビタミンDの実力』講談社
川田暁(2019)『女性医師が教えるスーパービタミンC美肌術』日経BP
五関正江(2023)『ビタミン・ミネラルがよくわかる本』つちや書店

Photography: KENICHI SUGIMORI
Edit & Text: KARIN KUROYANAGI

こちらの情報は『CYAN ISSUE 40 S/S 2024』に掲載された内容を再編集したものです。