『アイドルが憧れるアイドル』 鈴木愛理の努力家な素顔に迫る
15 Nov 2024
『CYAN ISSUE 41 A/W 2024』の表紙を飾った鈴木愛理へインタビュー。
ステージで歌い踊る姿はまさにアイドル。キュートな笑顔は老若男女をキュンとさせる。だけどそれ以上に人としてなぜか惹かれてしまう。そんな鈴木愛理が鈴木愛理たる理由に迫った。
「私、幼い頃はすごい人見知りでシャイだったんです。でも音楽はずっと好きで、歌うときだけは人前に立てた。父がプロゴルファーなんですけど、試合の日について行ってゴルフ場のクラブハウスで『愛ちゃんのショーやります!』とか言ってラムネのマイク片手に踊ってた。それが小さい頃の私のステージでした」。
いつも周囲に笑顔を与えてくれる彼女が、昔のアルバムは笑っていない写真ばかりだというから驚きだ。
「お母さんが『あなたがこの世界に入って良かったと思うことは笑うようになったことだよ』って言うくらい笑わない子だったんです。小学校に上がる時に今いる事務所がやっていた音楽スクールに入って、3年目にオーディションがあってこの世界に入りました。ただ元々アイドルになりたいわけではなかったから、正直可愛いフリフリの服とか着たかったわけじゃないって思っていたのがスタートでした(笑)。でも、11歳の時にC-uteを結成してお仕事をしていくなかで、どうしたら人が喜んでくれるかということがわかるようになって、そこから愛嬌というものを学びました。私は根本に人に求められていることを表現するのが好きっていうのがあるから、今ではアイドルは天職だなって思います」。
『アイドルが憧れるアイドル』と言われる彼女は、表現者として圧倒的な実力を持つ。そんな彼女をひとことで言うならば、努力家だ。それも人並外れている。
「私は頑張ることが好きなんですよね。頑張れちゃう。だから憧れるって言ってもらえて嬉しいんですけど、こういう人がすべてではないから、頑張ることを強要しすぎるのも良くないなって。そういうスタンスは忘れないようにしてます」。
人から尊敬されるのは、自分の立ち位置を客観的に理解し、常に周りへの気遣いを忘れない姿勢もあるのだろう。そんな彼女は今年30歳という節目を迎えた。
「最近頭皮が硬くなりやすくなった気がするんですよ。それって人生考えることが増えたってことなのかなって思って。ソロになってからはとくに、あれやりたいなとかこのアイディアをグッズにしたいなとか、アンテナをずつと立てて過ごしてる。でも頭が固くなるとひらめきって本当に生まれなくなるなって実感して、土台が健康であるべきだっていう気持ちが強まった気がします。あと最近、遺伝子検査をしたんです。朝型か夜型かとか、遅筋か速筋かとか、どういう成分が太りやすいかとか、遺伝子で決まってるんですよね。そういうことを物理的に理解できると、調子が悪い時に無理しなくていいんだよって自分自身に優しくなれる。そういう心地よいルーティーンで過ごしたいなっていうのは思うようになりましたね、大人になって」。
前向きな性格も彼女の魅力のひとつと断言できるだろうが、自身の持つポジティブさの解釈は意外なものだった。
「世の中には本当に根っからポジティブな思考の方もいるけど、私はそれとはちょっと違うタイプ。今でもわりと不安なこととか心配事、自分に自信を持てないことが核にあって。でもそれをどうリカバリーするか、どう前に進むかっていうところで、ポジティブに物事を考える癖がついているっていう感じなんです。解決策を考えたり、その原因を追求する探究心が強いから、『ネガポジ変換が超得意』っていうタイプのポジティブなんですよ」。
そう、話を聞いていて感じるのは、彼女自身の“オタク気質”。好奇心が旺盛で、研究熱心だ。
「試すことや調べることが好きなんですよね。1人でどこでも行けちゃうし。自分ができないこと、知らない世界があるっていうのがすごい楽しくて。以前1人で行ったロンドンでも、レストランで隣の席になった現地の人と一緒にご飯食べて、言葉はほぼ通じてないけど、そういうのがなんか楽しいんです」。
気になったことは全部知りたいとまっすぐに答える。彼女の生き方を聞いていると、欲張りなことは素敵なことだと思える。
「現状に満足するということの素晴らしさも大人になればなるほどもちろん覚えるじゃないですか。安定した生活もすごく素敵だし憧れはある。でも、そういう感覚がまだ私のなかであまり大きくないから、今はこのまま止まらず欲深くてもいいかなっていう気持ちでいます」。
この先、鈴木愛理はどういう女性へと進化するのだろう。擦れもせず、媚びもせず、そのまっすぐさとピュアさのまま歳を重ねてほしいというのは勝手なエゴになってしまうだろうか。
「色気とかミステリアスさとかね、私も昔は憧れがありました。でも大人になって『色気』の見え方は少し違ってきたかな。子供の頃の色気って紫色みたいな妖艶なイメージがあったけど、大人になって思う色気ってなんかもっとナチュラルで、素でいられる人がすごく色っぽく感じます。気取らずにいれたらいいのかな。出るかわかりませんがね、色気が(笑)。でも歳を重ねることって、それまで生きてきた過程が良くも悪くも滲み出ると思うんですよ。その滲み方がかっこいい女性になりたいと思います。自分がやっていることに対して常に嘘がない、『私はこれです』って胸を張れるような生き方ができたらなって。過去のあの時が良かったな〜って思わないように、今日がいちばん輝いているなって思えるような歳のとり方をしたいなと思って生きています」。
鈴木愛理
1994年生まれ。千葉県出身。2002年、ハロー!プロジェクトに加入。 2005年6月に°C-uteを結成。2007年より並行してBuono!としても活動。 2018年3月からはソロ活動をスタート。圧倒的なパフォーマンス力で人気を集め、現在では歌手活動以外にモデル・俳優・番組MCなど、多岐にわたって活動の幅を広げている。
Photography: TOSHIAKI KITAOKA(L MANAGEMENT)
Hair: TAKUYA BABA(SEPT)
Makeup: SHINO ARIIZUMI(TRON)
Styling: KAZUHIDE UMEDA
Model: AIRI SUZUKI
Edit & Text: YUKA ENOMOTO
こちらの情報は『CYAN ISSUE 41 A/W 2024』に掲載された内容を再編集したものです。