多くの時代を彩ってきた「赤」がもたらす印象とは?

赤にまつわる物語。ep2


身に纏う赤

パリジェンヌは赤を心得ている

パリジェンヌのスタイルといえば、究極のベーシック。トレンドに左右されず、リラックス感はありながらも洗練されたスタイルのこと。そのスタイルが築かれたパリは、伝統やベーシックが根づきながらも、流行の発信地でもある。そのエスプリは、ベーシックカラーを軸にポイントで取り入れる、色使いに垣間見られる。その色には、自分のスタイルを表現するシンボルのような役割があると感じるから。例えば、モノトーンルックにエレガンスを加えるために、ネイルで指先に赤を入れるというように。

同じくフランスで誕生したクリスチャン ルブタンは、現代を代表するアイコニックなレッドソールを生み出している。デビューの翌年である1993年、当時のアシスタントが真っ赤なマニキュアを塗っていたことにインスピレーションを受け、シューズのソールを赤に塗ってみたのが始まりである。ブランドの飛躍のきっかけとなったレッドソールは、偶然から誕生したのだ。

赤はこれまでも多くの時代を彩ってきた。そのひとつが、オードリー・ヘプバーン主演の映画『パリの恋人』(1957年 / パラマウント映画)に登場する、赤いイブニングドレスを着用したシーンである。これはフランスのラグジュアリーブランドであるジバンシィがデザインしたもの。作品の世界観を印象づけたシンボリックなワードローブとして、今もなお語り継がれている。
また、多彩な赤で表現された映画として思い出されるのが『アメリ』(2001年 / アルバトロス・フィルム)。パリの下町で暮らす主人公アメリの部屋は、どこかレトロな雰囲気のある落ち着いた色合いの壁紙をはじめ、ファニチャーや雑貨などの質感やトーンの違う多様な赤が登場する。この色彩を通して感じるのは、アメリの内側にある情熱や感情。自分のスタイルや生き方を表現するために赤が存在している、パリジェンヌらしさに触れられる。

左:パリの恋人 Blu-ray ¥2,075/DVD ¥1,572(NBCユニバーサル・エンターテイメント) Copyright ©︎ 1956 by Paramount Pictures Corporation. All Rights Reserved. TM, ®︎ & Copyright ©︎ 2013 by Paramount Pictures. All Rights Reserved. 右:アメリ 発売 / アルバトロス

Red Color Image

色彩から人間の心を探求する学問とされる色彩心理学から見ると、赤は両極端なことを想起させる色と言われている。『エネルギー』『情熱』『積極性』『華やかさ』『愛情』がポジティブな要素だとしたら、赤の分量が多くなるほど苛立ちなどの攻撃性が強くなっていく。そのような赤の特性を理解すると、指先やリップに取り入れることは、ポジティブな印象を引き出すのに効果的と言えそうだ。
Red nails
1. 赤が持つ華麗さを軽やかに表現したレディレッド。ひと塗りでも指先に色つやをもたらしてくれる。2. 「ラブ」というカラーネーミングの通り、指先に情熱が吹き込まれる。いつもより少し大胆に。3. 指先にも型にはまらない自由さを。ブルーレッドな色づきで他にはないつややかさをたずさえて。4. 明るくデザイン性の高い騎手の上着を連想させるつややかな赤で、指先に個性を。5. 深みのあるヴィンテージライクな輝きをもたらすレトロで魅惑的なつやに、視線が集まる。6. 多様性とユーモアを大切にしたワインレッド。深みのある色合いで、さりげなくも個性を印象づける。7. パリ発のヴィーガン・クルエルティフリーのネイルが創り出す、ロマンティックな深紅。ナチュラルさのなかに凛とした雰囲気を感じる。
  1. PAUL & JOE ネイルカラー 01「ルージュ カーディナル」10mL ¥1,760(PAUL & JOE BEAUTE)
  2. Kure BAZAAR ラブ 10mL ¥2,750(フォルテ)
  3. CHANEL ヴェルニ ネイル エナメル 151 ピラート 13mL ¥4,620(CHANEL)
  4. HERMÈS レ マン エルメス ヴェルニ エマイユ 64 ルージュ・カザック 15mL ¥6,160(HERMÈS)
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  6. nailmatic NM ピュアカラー #フェイ 8mL ¥2,310(nailmatic)
  7. manucurist グリーン ナチュラル ネイルカラー レッドチェリー 15mL ¥2,970(マニキュリスト バル)

Photography: KENICHI SUGIMORI
Edit & Text: YUKA ENOMOTO, MAKO UCHIDA
Text: k company

こちらの情報は『CYAN ISSUE 41 A/W 2024』に掲載された内容を再編集したものです。